
■プラド美術館
■■なぜ、プラド美術館に?
大英博物館、ルーブル美術館、メトロポリタン美術館と並び世界四大ミュージアムの一画をなすプラド美術館。
四大ミュージアム探訪、虎視眈々と。とりあえずメトロポリタン美術館を残すのみとなった。
四大ミュージアムの最初に訪れてみたく、マドリードに飛んだ。
プラド美術館の前庭と言わんばかりに広大な庭園が広がり、青々と茂った樹木たちが美術館の荘厳さを引き立てる。
16-7世紀、太陽の沈まぬ国と称えられたスペイン。王家の収蔵コレクションとGOYAの作品を間近に対面したかった……。
いつぞや国立西洋美術館@上野でプラド美術館展があり、その折対面したGOYAの作品が、本家にどう収まっているのだろうか。。
■■再会
数年ぶりの再会。
GOYA「parasol(日傘)」

館内にはエル・グレコなど宮廷画家を代表する画家の展示ルームが幾つもあるが、GOYAもしかり。
「裸のマハ」や「カルロス4世の家族」などGOYAの代表作が展示されている大部屋から外れるようにして、その部屋はあった。
応接室程度の小さな小部屋、ほの暗い照明に浮かび立つように壁にかけられていた。
1777年頃作、油彩・カンヴァス、104cm×152cm。
この数倍はあろう作品も数多く並び中、決して目立つ目を惹く大きさではない。
目を惹くのは、その色使い。外光を鮮やかな色彩と強い明暗で見事に表現している。
緑や青、赤、 色の鮮やかさと深みを光の加減が演出し、一瞬で心奪われた作品だ。
一見幸せそうな男女を描いた作品の背景は、なかなか複雑だ。上流階級の娘を強い陽の光と風を防ぐように
日傘を差し出す下層階級の男。描かれている若い男女には、厳然とした階級差があるものの、穏やかな柔らかさを感じさせる。
GOYAは、黒を使った作品が多い一方、宮廷画家となって以来、民衆の穏やかな生活風景を鮮やかな色使いで描きあらわした作品も多い。こうした一面をあらためて知るうえでも、美術館に足を運んでみる価値は代えがたい。
■ソフィア王妃芸術センター
初めてスペインを旅して以来、数次にわたる訪問となった。そもそものキッカケは、ミーハー気分でピカソの大作「ゲルニカ」を一見したかったこともある。
■■タクシー珍道中
ロンドン、ヒースロー空港からBA便でマドリードの空港に降り立った際、言葉もわからず、とりあえず、地図を見せながら「ピカソ、ゲルニカ!」とだけタクシーの運ちゃんに口走った覚えはある。たまたま気のよい運ちゃんだったのか、ぼられることなく最適料金で作品のあるソフィア王妃芸術センターに運んでくれた。

マドリードもそうだが、欧州各地は石造りの街並み設計ゆえ、路上を歩いても、建築構造物にしても、歩くと革靴の底が共鳴して「カツ、カツ、カツっ!」と響き渡る。
ソフィア王妃芸術センターは、元々王立病院だったらしく、美術館特有の迷路のような各種展示室のような作りではなく、いかにも病室だったのだろうなと感じさせる大部屋を白壁が仕切っている。
中でもホールを思わせる天井の高い大部屋の奥中央に人集り。案内表示を見るとなにやら「ゲルニカ」の展示らしい。もちろんスペイン語など皆目わからず、英語の断片を手がかりに暗中模索するようなものだった。
■■対面
作品名:ゲルニカ
製作年:1937年
サイズ:349.3x776.6cm
技法 :油彩 カンヴァス
ホール中央に坐するかのように展示されていた「ゲルニカ」。画前に立ち、手を伸ばせば手が届く。ホールには女性の警備員が2-3名いたが、さして閲覧者の動向に気を止める素振りもない。

モノトーンの作品だが、黒の使い方が実に巧みだ。
作品に目を近づけて注視すると分かるが、黒の下絵のように黒の濃淡を使って線画で無数の動物やら擬人絵が描かれている。油彩独特の色の質感に西洋画の凄みすら感じさせられた。
ゲルニカ本物の作品が醸す画の重厚感。
ありありと、いま自分はこの大作と向き合っているという妙なリアル感が場の空気を支配していく。
気づくと小一時間が過ぎようとしていた……
あっという間に時間が過ぎていく。旅の醍醐味かも。
いまさらながら、スペイン内戦に乗じたナチス侵攻へのピカソの理不尽な怒りが作品に満ち満ちているようにも感じつつ。
やたらキナ臭い世の中になってきたし、SNSの炎上みると人心の荒廃際立ってきた感ありで。
「ゲルニカ」のもつ本質とやらをいまさらながらに垣間見たようです。やはり、名高い作品のもつ力とは、こういうものかと……

Last Updated on 2024年5月18日 by plough

